化粧文化論
人類の起源と共に人は化粧行為をしてきました。
寒冷や乾燥から肌を保護するために、油脂を塗ったり、
魔除け、種族の識別、祭礼時に顔料を顔に塗っていました。
日本の現代の化粧の歴史は平安時代にさかのぼります。
遣唐使廃止のころから国風文化が広がり、源氏物語の絵巻物
にも見られるように日本独特の和装文化が生まれました。
化粧も身を清める行為から、神に近い人、高貴な人が
男女ともに白化粧をするようになりました。
江戸時代になると裕福な一般の女性たちにも薄化粧が広まり、
婚約が決まるとお歯黒を付け、子供ができると眉を剃りました。
明治時代になり、一気に欧風化が進み風俗が洋装になりました。
ヨーロッパでは中世の頃、化粧する事は神を冒涜する行為と考えられていました。
(人は神の創造物)そのため欧米では現代でもナチュラルメークが主流です。
現代の日本の化粧文化は、上記の双方の文化の流れを
受け継ぎ、自然な美白願望が主流です。
外見のファッションは欧米風、心は日本的のようです。
舞台化粧と光
暗闇では人の顔は見えません。光がすべてを決めます。
地球上で一番自然で、光量が多いのは太陽光です。
日常の化粧品は太陽光の元で自然で美しく
感じられるように作られています。
舞台化粧や撮影用の化粧品はどう作られているのでしょうか?
人工光で照明する舞台やスタジオでは、日常とは光源が違います。
そのために、光の色や光量を考えなければ化粧ができません。
舞台上において日常の化粧品では、ほとんどの場面で役に立ちません。
化粧品は原料の体質顔料等で伸び、カバー力、質感を作りだしています。
そして着色顔料で色相〈色み〉、明度、彩度を変え、
世界中の人々の肌の色が表現できるようにつくられています。
昔々、化粧品は肌に悪いと思われていた時代がありました。
江戸時代には、ほとんどの白粉が鉛白や水銀白粉でした。
科学的な知識が少ない時代です。世界でも同じでした。
しかし、科学技術は日々進化しています。舞台、撮影用の化粧品も、
日常の化粧品と同じ最新の原料で作られています。
近年、プロ用化粧品と宣伝し、販売の差別化をしているメーカー
が増えてきましたが、そんなに簡単なことではありません。
プロ用化粧品を作り続けていくには長年の経験、研究、化粧文化に対する真摯な心、
舞台人にかける愛情の深さが大切です。
三善は時代の最先端をめざし、常に感性を磨いています。